品質管理とは、生産管理のように「品質」を管理するだけなの?というザックリな仕事内容しか思い浮かびませんよね。
しかし品質管理という仕事は甘くなく、細かいチェックが必要になるのです。
そんな品質管理について仕事内容や年収、やりがいなどを当記事ではお伝えしていきます。品質管理に転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
『品質管理』って何?簡単に説明してみた
品質管理には主に2つの役割があります。
- 商品が百貨店や専門店、アパレル企業が決めた品質管理基準に達しているかの管理
- 服の内側に着付いている品質表示のタグに表示する項目(記事の素材や洗い方等)が正しく表示されるように試験、管理
これら2つが品質管理の主な役割です。詳しい仕事内容は後ほどお伝えしますが、品質管理はチェックすることがメインとなるので細かいところまで目が届く視野の広さを持っている人に向いています。
- 責任感の強い方
- 細かい作業が好きな方
- 勉強が好きな方
- ファッション業界が好きな方
『品質管理』の仕事内容とは?
先ほどにもご紹介しましたが、品質管理の主な仕事内容は2つあります。
- 商品が品質管理基準に達しているか
- 品質表示のタグが正しく表示されるように試験、管理する
品質管理基準に達しているか細かくチェックします。チェック項目は、生地についての部分が多く占めています。
- 色落ちしないか
- クリーニングに耐えられるか
- 伸び縮みの具合はどうか
- 毛玉ができないか
- 光に対しての退色はどうか
などが挙げられます。
服の素材の記事は、綿や麻、シルク、合繊など、折り方や編み方によって特性が違います。
したがって、1つ1つチェックし、品質に問題がないか確認していく必要があります。
商品の素材表示に関しては、輸入品であってもJIS(日本工業規格)が定めた試験法で検査する必要があります。商品や企業の信頼度に関わるので手が抜けません。
縫製や付属品など、商品の状態に問題がないかチェックしたり、品質についてお客様から質問やクレームを受けた際には対応も行います。
タグに関しては、洗濯する際に家庭で洗えるのか、クリーニングに出さないといけないのかといったことから、綿が何%、化繊が何%といった生地の素材が表示されています。
また、サイズや製造国、販売している会社などの明記もされています。このタグを表示するための様々な試験や調査を行う業務を担います。
家庭用品質表示法という法律に関わるので、妥協が許されない細かい仕事です。
通常、1週間もあれば検査は完了すると言われていますが、水洗いすると色落ちしたり、伸び縮みしたりすることが問題になれば、すべての商品を水洗いしてから市場に出す場合や、縫製をやり直して強度を高める場合もあるので、期間は続いたりします。
品質管理の仕事のやりがい
やりがい1:結果として良い評価を得られる
品質管理は製造現場からすると、裏方的な存在です。
多くの人と関わるため、現場と連携しながら改善を実施し、結果として良い評価を得られるとやりがいに繋がります。
顧客からのクレームの処理も多く大変ですが、その問題を解決に導き、お客様が喜んでいる姿を見ると「やってよかったな」とも思えます。
やりがい2:ブランドの「信頼」を作り上げる
どんな商品でも、ほつれや洗うと色落ちしたりなど品質に問題があれば、満足度が低くなります。
企業・ブランドの信頼を作り上げることができるのは、品質管理からとも言われています。
品説管理の収入とキャリアイメージ『年収400万円〜600万円』
基本給は平均27万円程度で、年収が400〜600万円程度と言われています。
縁の下の力持ちの仕事で給料が低いイメージですが、意外と高いです。
品質管理はアパレルメーカーだけでなく、生地屋さんや製造工場、百貨店、検査機関、お客様相談センターなどの様々な職場があります。
そのため給料にもばらつきがあるのは事実です。
品質管理に求められる4つのスキル
- 法律やクオリティを守る信念と責任感
- 品質表示、素材に関する知識
- 原因と結果の因果関係を見極める能力
- 製造現場との連携を図りながら仕事を進める能力
1:法律やクオリティを守る信念と責任感
JIS(日本工業規格)や家庭用品質表示法などの基準があるので、当然ですが自分でなんとなくという感じで仕事は行えません。
そのため、法律やクオリティを守る信念が必要です。
品質に問題があった場合に、クレーム対応が求められますので、責任感も必須です。
2:品質表示、素材に関する知識
品質をチェックする仕事なので、自然と品質表示や素材に関する知識が必要になります。
独学で勉強することも可能なので、繊維製品品質管理士(TES)などの試験に挑戦し、知識を得ることも可能です。
3:原因と結果の因果関係を見極める能力
商品の状態に問題があれば、何が原因なのか、どうすれば解決できるのかなど判断する力も試されます。
もちろん、品質や素材に関する知識も必須ですが、臨機応変に対応する能力が一番必須になります。
4:製造現場との連携を図りながら仕事を進める能力
品質管理は、社内と社外の人とも多く連携する状況があります。
お客様からのクレームや商品の品質の判断の相談、データの受け取りなど様々なやり取りが行われます。
『品質管理』として持っていた方が有利な資格は3つ
- 繊維製品品質管理士(TES)
- 衣料管理士(TA)
- 品質管理検定(QC検定)
繊維製品品質管理士(TES)
TES(テキスタイル エヴァリュエーション スペシャリスト)は、消費者に供給される繊維製品の品質・性能の向上を図ったり、繊維製品の品質について消費者からクレームが出ないように、それらの製品の製造や販売を行う企業のなかで活躍するスペシャリストです。
繊維製品品質管理士とは、日本衣料管理協会が認定している民間資格で、繊維製品の品質や性能を管理して、品質の向上を目的としている資格です。
資格取得から5年で資格消滅してしまうため、5年ごとに登録更新試験を受験する必要があります。
ホームページ:http://www.tes-shikaku.jp/
衣料管理士(TA)
TA (テキスタイル アドバイザー) は、繊維製品に関する素材および生産・流通・消費等の分野を体系的に学び、それらに関する基礎知識を身につけた人です。
最新ファッションのアパレルからインテリア用品、雑貨まで、私たちの生活を豊かに彩る繊維製品の企画・設計/販売/品質保証/消費者対応について、豊富な知識と技術、知恵と工夫を活かして、人々に貢献するプロフェッショナルです。
ホームページ:http://www.ta-shikaku.jp/
品質管理検定(QC検定)
日本企画協会が実施する、品質管理に関する知識をどの程度持っているかを全国で筆記試験を行って客観的に評価を行う検定です。
ホームページ:https://www.jsa.or.jp/qc/
未経験の方は生産現場の業務を経験してからが最短ルート
アパレルの品質管理の職種自体が未経験でも、製造工場での実務経験や、応募先の製品(食品、機械、部品、化粧品など)を扱う業界の出身者であれば、十分に採用の可能性はあります。
まったくの未経験から品質管理への転職を目指すなら、まずは生産現場での業務を経験してから挑戦することをおすすめします。
なぜなら、品質管理は企業の業績を左右する重要な仕事なので、製品や製造業界に関する知識・経験がまったくない人を採用する可能性はかなり低いからです。
品質管理で活躍しているプロの方の口コミ
「お客様から喜ばれるとともに社内の意識も向上」
信用や安心を作る品質管理の仕事。だが、そうしたものはすぐに作ることができるわけではない。1年、あるいは10年、いや、そもそも何年あれば十分と言えるものではない。
「ですから、地道な日々の努力が大事ですね。とはいえ、もともと洋服が好きで始めた仕事ですから、お客様の反響を聞く機会があると嬉しいですよ」
まさに縁の下の力持ち。商品の基礎を作る仕事ですからね。注目は浴びないけど、なくてはならない仕事
「思い出のある婦人服を15年も愛用されていたお客様からの手紙で、『ここまで着ることができたのは、品質のいい商品を作ってくれたみなさんのおかげです』と書かれてありまして、これは嬉しかったですね」
「商品企画や仕入部の人から『こういう商品があるんだけど、見てくれないか』と、事前に相談を受けることがあるんですね。そうやって頼りにされるときは、この仕事も無駄ではないんだなと思えます。私たちが品質にこだわることで、社員全体の品質に対する意識が高まっていくわけですからね」引用:https://next.rikunabi.com/jobgallery/jobs/hinshitsu_kanri/hinshitsu_kanri_01.html
まとめ:品質管理
アパレルメーカーだけでなく、生地屋さんや製造工場、百貨店、検査機関、お客様相談センターなど、品質管理の仕事だけでもいろいろな活躍の場があります。
未経験でも十分に品質管理は勉強次第でなれる可能性もあります。
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